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一枚の写真 Vol.10 「噺家拳士 三遊亭熊王」(2019年)

更新日:2022年4月2日

 

 私が横浜片倉道院の門をたたいたのは、もう17年も前、秋の深まる土曜日の午後でした。

息子が春から東京の中高一貫校に進学し少林寺拳法部に入部。秋の学園祭で生徒達の「演武」というものを初めて見たあと、顧問の先生からの「どなたか投げられてみたい方はおられませんか?」という問いかけに思わず手を挙げ先生の前に。私は中学では柔道部でしたので受身だけは自信がありました(笑)。「踏ん張らずに自然に立って」と言われた次の瞬間には、ふわっと畳に転がっていました。柔道のように足を掛けたり背負ったりせずに、まるで鉄棒の前回りをしたように何の抵抗も感じずに投げられました。

 そんな体験がきっかけで横浜片倉道院にて46歳での入門でしたが、現副道院長の佐藤先生から「大丈夫ですよ、私は50で始めましたから」という励ましをいただき、子供たちに混じり白帯からの修練が始まりました。先生方のご指導の下、同期入門のY拳士やW拳士と茶帯、黒帯とゆっくり昇格していきました。



 2年ほど経った頃、ひょんなことから落語協会真打の三遊亭圓王師匠に弟子入りをし、三遊亭熊王の名を持ったときも、三枝道院長から「その歳で新しいことに挑戦するのは勇気がいること」と励ましをいただきました。偶然にも圓王師匠は少林寺拳法の拳士(現七段)で、今でも飲みながら拳法談議に花が咲きます。横浜片倉道院の皆様には、夏合宿・納会・この写真の新春の集いなどの場でつたない落語にお付き合いいただき、面白くなくても笑ってくださる三好先生に背中を押されるように高座数が増え、軸足が拳法から落語に移りまして、実は二段までいただいた時点で休眠させていただいております。

そんな私に今でも暖かく声をかけてくださる横浜片倉道院の仲間をありがたく思っています。少林寺拳法の魅力は、他人との勝ち負けではなく、皆で楽しみながら一つずつ技を習得してゆくこと、誰かと組まないと技を学べないところにあると思います。開祖の「人という字は・・・」という教えを心に、いずれは現役拳士として戻りますので。合掌(石塚)


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